山野草に癒やされて

私は「花より団子」タイプで、これまで花にはあまり興味がありませんでした。そんな私が昨年、十種ヶ峰(山口県と島根県)を訪れた際、ヤマシャクヤクに出合い、その愛らしさと気品ある美しさに心を打たれました。それがきっかけで、山に咲く花々に少しずつ関心を持ち始めました。
昨年は、比婆山(庄原市)のヨメナロードを歩き、道沿いに咲く可憐なヨメナの花々に心が弾みました。ササユリやアカモノにも癒やされ、大山のユートピアコースで見たお花畑には心が躍りました。
今年はさらに多くの花と出合いました。大江高山(島根県)のミスミソウ、通山(鳥取県と島根県)のカタクリ、西赤石山(愛媛県)では一面をピンクに染めるアケボノツツジに感動しました。花に詳しい先輩方からは、スミレ一つ取っても葉の形や花の色に違いがあることなど、多くのことを教わりました。そうして出合う花一つひとつが、今では愛おしくてたまりません。
山の緑ももちろん美しいですが、その中に咲く小さな花の命があるだけで、心にぽっとあかりが灯るような温かさを感じます。今ではすっかり、山野草の魅力に取り憑かれています。
山にひっそりと咲く山野草。出合えた喜びは格別ですが、その一方で、心ない方の盗掘、シカの食害、温暖化などで希少植物が減少している現実があります。「昨年よりもお花が少なくなっていた」という話を聞くと、とても悲しい気持ちになります。
「今年も咲いてくれてありがとう」と、毎年お花たちに言えるよう、山や森がいつまでも豊かなままであってほしいな、と願うばかりです。